音楽の起源を考える

古代エジプト 壁画

音楽の期限を考えると、「このころの音楽は○○だったであろう」というような想像や推測の範疇を越えることはないと思われます。

音楽の起源論については、多くの説がありますが、ここでは音楽の三要素、つまりリズム、メロディー、ハーモニーについて考えてみることにします。

胎児は、生命発生より何億年もの進化の過程を、母親の胎内にいる十月十日で繰り返して人として誕生することはよく知られていますが、同様に、人類が音楽を獲得していった段階と、人が乳児から成長する過程で身に着けてい、く音楽的感覚の獲得段階が同様であると言われています。

音楽の第1要素「リズム」


  アウストラロピテクス

アフリカで生まれた初期の人類であり、約400万年前~約200万年前に生存していたとされる化石人類「アウストラロピテクス」は、危険が迫ったことなどを周囲に知らせるために、木や石を打ち鳴らし、信号音として、既に一種のリズム的要素を発していたと考えられています。それは、現在の霊長類、チンパンジーなどに見られます。

ですから、人間がリズムを獲得したのは気が遠くなるほどの大昔、人類発生の時点まで遡るとされています。

 

音楽の第2要素「メロディー」

アルタミラ 洞窟画

また、ラスコー(仏)やアルタミラ(西)洞窟には、数百の馬・山羊・羊・野牛・鹿・かもしか・人間の壁画がありますが、これらは2万年前の後期旧石器時代のクロマニョン人によって描かれたものです。

その描写は、実に生き生きとしていて、まるで動き出しそうなほどに写実性豊かな芸術です。

この美術の芸術性をもって、彼らの音楽的能力を考えてみると、ある一定の美しいメロディーを歌っていたのかもしれないと考えられています。

尚、約40万年前に出現し、2万数千年前に絶滅したネアンデルタール人について、コロンビア大学のソレッキー教授らは「ネアンデルタール人には死者を悼む心があり、副葬品として花を遺体に添えて埋葬する習慣があった」との説を唱ました。

つまり、原始的な宗教が存在していたということで、使者を弔うための一連の行動様式の中に、音楽的な要素があったのではないかとも考えられています。

人間がメロディーを獲得したのは、おおよそ数万年~十数万年前くらいと考えられています。

音楽の第3要素「ハーモニー」

ネイを吹く古代エジプト人 エジプト壁画

紀元前4000年のエジプトと紀元前3000年のメソポタミアには、最も古いとされるハープの記録があります。

ご存知のように、ハープには数多くの音高の異なる(音の高さが異なる)弦が張られていますので、同時につま弾くと、自然にハーモニーが発生します。

また、エジプト時代の壁画には、合唱をしていると考えられる壁画も残っています。

ですから、人類がハーモニーを獲得したのは、大河流域の高度な文明が誕生した、数千年前の時代ではなかろうかと考えられています。